オスグッド・シュラッター
多発する競技:バスケットボール・サッカー・バレーボール
オスグッド(Osgood-Schlatter)病は、成長期のスポーツ障害として代表的な疾患で、脛骨粗面*に痛みや圧痛を有し、局所の腫脹を伴う。頻度としては比較的多いが、
社会的には問題のない”成長痛”として誤って認識されており、患者は放置されることが
多い。しかし、現実には子供たちの
スポーツ競技力向上に大きな影響を与え、
長期にスポーツ活動を休止せざるをえない
場合もあり、結果的に競技変更やドロップアウトに至ってしまうこともある。

*脛骨粗面
1.疑うべき症状
オスグッド病は10〜14歳で、スポーツを行っている男子に多く、女子ではこれより1〜2年発症が早い。症状は脛骨粗面部(膝蓋骨下極より数センチ遠位)の圧痛、運動痛、腫脹である。この部の隆起が著しいと正座などの際に床に接することで痛みが生じる。
⚫︎治療とその期間
症状が軽度(スポーツ活動に差し支えない)場合は、大腿四頭筋のストレッチングや練習後のアイシングなどを指導します。症状が中等度以上(スポーツ活動が制限される)の場合は、2〜3週間の運動禁止とともに右図のストレッチングを励行させます。
引用:日本整形外科学会. 2005. 『ケガをしたときのスポーツ医へのかかり方』日本整形外科学会編. 改訂第2版.東京都: 有限会社ブックハウス・エイチディ.
⚫︎放置しておくと
運動量の過多が原因であることを理解することが重要です。痛みさえ我慢できる程度であれば、スポーツは続けても問題ありませんし、痛みの強い場合でも一定期間の安静により傷めた部分が治り後遺症の心配もほとんどありません。
引用:日本整形外科学会. 2005. 『ケガをしたときのスポーツ医へのかかり方』日本整形外科学会編. 改訂第2版.東京都: 有限会社ブックハウス・エイチディ.

⚫︎予防方法
OSDは、大腿四頭筋のタイトネスや骨盤帯後傾などの動作不良によって発症することが多いため、大腿四頭筋のストレッチングと、骨盤帯前傾位でん動作獲得のためにハムストリングスのストレッチングが重要である。また、足関節の可動域の減少によって膝関節への負荷が増大するため、腓腹筋、ヒラメ筋のストレッチングも必要となる。
(中略)
また、選手自身による脛骨粗面の圧痛チェック(図14)は比較的簡単に初期のOSDを発見することが可能であるため、選手へのセルフチェック指導として取り入れると効果的である。
引用:金岡 恒治・ 赤坂 清和. 2015. 『ジュニアアスリートをサポートするスポーツ医科学ガイドブック』金岡 恒治・赤坂 清和編. 東京都: 株式会社メジカルビュー社.


図14 脛骨粗面圧痛チェック


大腿四頭筋のストレッチングの例


ひざのアイシングの例