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腰椎分離症(ようついぶんりしょう)

柔道・レスリング・バレーボール・野球・サッカー

成長期でスポーツをしている人の腰痛、とくに運動時、腰部伸展、回旋時に生じる腰痛です。

​殿部痛や下肢痛を伴うこともありますが、腰椎椎間板ヘルニアより頻度は低いといえます。

引用:坂根 正孝. 2014. 「基本のきから学ぼう 患者さんに話せるスポーツ障害(第10回) 腰椎分離症・分離すべり症」『整形外科看護』 19巻6号: 637-40頁.

少年期(成長期)の腰椎分離症

 前方の椎体と後方の椎間関節をつなぐ骨(椎弓)の一部が切れて、離れてしまう状態です。小学校高学年、中学生でスポーツを一生懸命に行っている子どもに発生する障害で、繰り返すスポーツストレスによる疲労骨折と考えられています。5つある腰の骨の下のほう(第5腰椎がもっとも多い)に起こります​。

症状

症状は、下肢の痛みやシビレはなく、腰痛のみです。初めは長時間の立位や練習後に腰痛を生じますが、進行すると、背中や腰部を後ろにそらすととくに痛むようになります。多くの場合、腰痛は数日間の安静で軽くなりますが、スポーツを再開すると、また腰痛が起こってきます。スポーツをする子どもにこのような腰痛が発症したら、腰椎分離症を疑ってください。

引用:日本整形外科学会. 2005. 『ケガをしたときのスポーツ医へのかかり方』日本整形外科学会編. 改訂第2版.東京都: 有限会社ブックハウス・エイチディ.

治療のポイント

​ 腰椎分離症はレントゲン検査ですぐ診断できます。レントゲン検査で分離(疲労骨折)がみつかった場合、適切な治療により分離部の骨がくっついて治る可能性があります。通常、コルセットなどで腰部の固定、安静を保ち、約4〜5ヶ月間のスポーツ活動の休止が必要です。腹筋や背筋の強化を行い、6ヶ月を目安にスポーツに復帰してください。

治療経過における注意事項

​ 腰椎分離症は早期にみつけて治療することがもっとも大事ですが、早期発見に難しさがあります。少年期(成長期)に発見することができれば骨を治すことが可能ですが、高校生か大人になってからでは骨を治すことはまず不可能です。スポーツをする子どもの腰痛は必ず整形外科(スポーツ医)を受診し、レントゲン検査を受けることが大切です。また、腰椎分離症の腰痛は軽いことが多く、すぐにスポーツを再開できてしまいますが、整形外科(スポーツ医)で腰椎分離症と診断されて約4〜5ヶ月間のスポーツ活動の休止を指導されたときは、それをきちんと守ることが重要です。

青年期の腰椎分離症

 少年期(成長期)に​、前方の椎体と後方の椎間関節をつなぐ骨(椎弓)の一部が切れて、その後、離れたままになっている状態です。腰痛が主な症状で繰り返すことが多いのですが、下肢に痛みやシビレがでることはまれです。長時間の立位や運動後に、また、背中や腰部を後ろにそらす動作で、腰痛が繰り返して生じます。

治療のポイント

 青年期の腰椎分離症では分離部の骨をくっつけて治すことはまず不可能ですから、腰痛に対する治療が基本になります。無理に腰の骨を矯正するようなことは悪化するおそれがありますので、やめてください。多くの場合、安静だけで1〜2週間のうちに痛みが軽くなります。痛みが取れてきたときから、温熱療法、軽いストレッチングを開始してください。2〜3週間を目安にスポーツに復帰してください。

治療経過における注意事項

​ 整形外科(スポーツ医)を受診して腰椎分離症と診断されても、多くの場合、症状は腰痛だけでとくに問題になることはありません。しかしながら、まれですが、下肢の痛みやシビレがでるもの、足関節や足の指に力が入らなくなったり、感覚が鈍くなることがあり、入院や手術が必要となります。整形外科(スポーツ医)で定期的な医師の支持を仰ぐことが肝要です。

引用:日本整形外科学会. 2005. 『ケガをしたときのスポーツ医へのかかり方』日本整形外科学会編. 改訂第2版.東京都: 有限会社ブックハウス・エイチディ.

正常例

​分離した腰椎

予防法

​ 過度の伸展・回旋動作を控えることが重要です。また、ハムストリング(大腿屈筋群)のストレッチなどを指導します。

ハムストリングのストレッチ

「ジャックナイフ・ストレッチ」

まず、しゃがんだ状態で足首を握る。胸と大腿をジャックナイフのようにくっつけた状態で、膝間接を徐々に進展させる。最大進展位置で5秒とめる。胸と大腿は常時くっつけたジャックナイフ位であることが一番重要である。したがってタイト・ハムストリングスが強い症例では、膝間接は90度までしか進展できない場合もある。これを5回繰り返す。朝晩2回行うホームエクササイズである。

 このストレッチでは腰椎には不可がかからないため、腰椎があっても可能である。また、装具をつけていても可能であり、装具療法に併用できるという利点がある。

 ハムストリングが柔軟となると、骨盤の動きが増加することでパフォーマンス中の腰椎への負荷が減少することが知られている。

引用:西良 浩一・酒井 紀典・ 間瀬 泰克. 2010. 「【アスリートの疲労骨折 なぜ発症するのか】 脊椎の疲労骨折 腰椎分離症」『臨床スポーツ医学』 27巻4号: 411-21頁.

ジャックナイフストレッチ

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