top of page
​下腿疲労骨折

起こりやすいスポーツ:陸上・サッカー・バスケットボール・バレーボール

​症状・メカニズム

​ 骨も金属疲労と同様に、繰り返しスポーツによる無理な負荷を加えると、ついに骨折してしまいます。この状態を疲労骨折といいます。スネの骨(脛骨)に起こる疲労骨折は、

ランニングの運動動作によって起こる「疾走型」と、ジャンプの動作を行うスポーツによって起こる「跳躍型」の2つの

タイプの疲労骨折があります。「疾走型疲労骨折」は脛骨の

上部、下部に発生し、「跳躍型疲労骨折」はスネの中央に発生します。初期にはスポーツ中だけの痛みですが、症状が進むと練習後にも痛みが続きます。スネの外側の細い骨(腓骨)にも疲労骨折が発生し、上部と下部が好発部位です。ウサギ跳び、ランニング、ジャンプなどの運動の繰り返しで疲労骨折が起こります。骨折部に一致して、押すと痛みがあり、腫れもでてきます。ただ、外傷による骨折とは異なり、レントゲン写真では、初期に変化はなく、1〜2週間後に撮ると、周囲に新しくできてきた骨や、骨折したところが見えてきます。

引用:日本整形外科学会. 2005. 『ケガをしたときのスポーツ医へのかかり方』日本整形外科学会編. 改訂第2版.東京都: 有限会社ブックハウス・エイチディ.

疲労骨折とは

​ 通常、骨折とは転倒や事故などで大きな外力が一回加わり、骨の連続性を絶たれる状態のことを指します。一方、針金を曲げたり伸ばしたりすることを何回も繰り返すと、いつかねじ切れてしまうように、小さくても単調な力が

長期間に渡って同じ骨の同じ部位に加わると、骨の連続性が絶たれることがあります。このような病態を疲労骨折といいます。10歳代前半より発症して16歳にピークがみられます。

 下腿は全身の中でも疲労骨折のもっとも好発する部位である。中でも脛骨での発生はもっとも多く、自験例においても疲労骨折全体の45%を占めている。これに対して

腓骨での発生は全体の1割に満たない程度である。

引用:田島 卓也・帖佐 悦男. 2013. 「基本の「き」から学ぼう 患者さんに話せるスポーツ障害(第2回) 疲労骨折」『整形外科看護』 18巻10号: 988-91頁.

​疾走型

​跳躍型

​跳躍型

​疾走型

どんな時にみられるか

​ 疲労骨折は日頃あまり運動をしていなかった選手が急に

運動をはじめたり、練習ないようが単調な基礎練習に

変わったりする時期によくみられます。とくに新入部員が

部活動を開始する時期や冬場のシーズンオフに長距離

ランニングをする歳には多くみられます。また、シューズやスパイクを変更した後にもみられることがあります。

引用:田島 卓也・帖佐 悦男. 2013. 「基本の「き」から学ぼう 患者さんに話せるスポーツ障害(第2回) 疲労骨折」『整形外科看護』 18巻10号: 988-91頁.

治療とその期間

​ 疲労骨折、シンスプリントいずれにおいても、その治療には、原因となったスポーツ活動(ランニングやジャンプ)の休止が原則です。ただその間も、他の部分のトレーニングや体重のかからない水泳や自転車は可です。治るまでの期間は、シンスプリントの場合、早ければ2〜4週間ですが、疲労骨折では1〜3ヶ月間かかります。疲労骨折が治ったか

どうかは、押さえても痛みがなくなることと、レントゲン写真で骨治癒が確認されることに基づきます。しかし跳躍型の疲労骨折は、一時よくなったようになりますが、スポーツを再開すると再発してきたり、治るのに期間を要することがあります。そしてときに手術が必要になることもあります。

引用:日本整形外科学会. 2005. 『ケガをしたときのスポーツ医へのかかり方』日本整形外科学会編. 改訂第2版.東京都: 有限会社ブックハウス・エイチディ.

放置しておくと

​ 疲労骨折やシンスプリントがあるにもかかわらず無理を

続けると、痛みが強くなり、スポーツの継続が難しくなってきます。原因となったスポーツを休止するしか治す方法が

ないので、放っておくと結果的に、治療期間が長引きます。また、跳躍型の疲労骨折の場合は完全骨折が起こってしまう場合もあります。スポーツに伴うスネの痛みが続くときは、スポーツ医の診断を受けるようにしてください。

引用:日本整形外科学会. 2005. 『ケガをしたときのスポーツ医へのかかり方』日本整形外科学会編. 改訂第2版.東京都: 有限会社ブックハウス・エイチディ.

再発を繰り返さないために

​ 疲労骨折は成長期のスポーツ選手によくみられます。この時期は身体の成長段階にあり、骨が軟らかく、筋肉が硬いのが特徴です。筋肉や関節が硬い場合、着地やランニングのフォームが乱れて骨にストレスが加わります。これは疲労骨折の発生原因の1つのため、ストレッチを励行して筋肉および関節を軟らかくしてコンディションを整えることが重要です。筋を軟らかくすることで、骨に対するストレスを軽減させることができます。また、へん平足凹足(ハイアーチ)などの形態異常も疲労骨折の発生要因との報告があるので、シューズの中敷を工夫し足の形状を矯正することも重要です。

引用:田島 卓也・帖佐 悦男. 2013. 「基本の「き」から学ぼう 患者さんに話せるスポーツ障害(第2回) 疲労骨折」『整形外科看護』 18巻10号: 988-91頁.

bottom of page