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ジャンパー膝

サッカー・バスケットボール・バレーボール

​ジャンパー膝は、とくにジャンプやキックを多用するスポーツ選手に発症する膝全面の痛みを主訴とする障害で、膝蓋腱炎・大腿四頭筋腱炎ともいわれます。

病態

​膝伸展機構のオーバーユースによる障害と考えられています。膝蓋腱・大腿四頭筋腱への過負荷によって、腱と骨との接合部で腱の微小断裂が起こることが原因です。10〜20歳くらいの男性に多くみられます。

症状

​膝前面の痛みを訴えます。初期は運動時痛のみですが、悪化してくると安静時にも痛みが出るようになります。膝蓋腱が断裂することもあります。

痛みの出る部位

診断

膝蓋腱の下縁・上縁または脛骨結節と腱の移行部に圧痛を認めます。大部分が膝蓋骨下縁で、上縁脛骨結節の発症順です。大腿四頭筋の萎縮を認めることもあります。

 ランナー膝・ジャンパー膝ともに、X線ではとくに異常を認めません。MRI・エコーで異常を認めることもありますが、補助診断的なものとなります。

引用:亀田 敏明・井上 雅之. 2014. 「基本の「き」から学ぼう 患者さんに話せるスポーツ障害(第13回) ランナー膝・ジャンパー膝」『整形外科看護』 19巻9号: 937-41頁.

上縁

膝蓋骨

​下縁

脛骨結節

治療

基本的には大部分が保存的治療で治ります。症状の程度に応じて病期を4段階に分類し、病期に応じた治療を行います。

Stage1

運動後に疼痛が生じる場合は、運動前の十分なウオーミングアップと運動後のアイシングを徹底します。​消炎鎮痛薬の

投与、ステロイドの局所注射を行うこともあります。下肢のストレッチ・膝周辺の筋群の筋力トレーニングを行い、筋肉の柔軟性と筋力アップを図ります。またサポーター・足底板を使用します。

Stage2

​ 運動開始後から疼痛が現れる場合は、Stage1の治療に加えてスポーツ活動の休止を指導します。

Stage3

 安静時にも疼痛が所持る場合は、さらに長期のスポーツ活動休止を指導します。保存治療を6ヶ月継続しても無常な場合に、手術治療を行います。

Stage4

 膝蓋腱が断裂している場合は、膝蓋腱の再建を行います。

 以上のように病期に応じた治療を行いますが、軽度であれば治療開始後2〜3ヶ月でスポーツ復帰が可能となります。慢性化した場合には4〜6ヶ月の治療が必要となります。​消炎鎮痛薬の効果は急性期のみで、急性期を過ぎると効果は少ないとされています。体外衝撃波治療が行われることもあります。 

引用:亀田 敏明・井上 雅之. 2014. 「基本の「き」から学ぼう 患者さんに話せるスポーツ障害(第13回) ランナー膝・ジャンパー膝」『整形外科看護』 19巻9号: 937-41頁.

手術治療

ジャンパー膝

​安静時痛を認め、保存治療が無効な場合に手術治療を選択します。手術は、直視下または関節鏡視下に変性部位の切除を行います。

引用:亀田 敏明・井上 雅之. 2014. 「基本の「き」から学ぼう 患者さんに話せるスポーツ障害(第13回) ランナー膝・ジャンパー膝」『整形外科看護』 19巻9号: 937-41頁.

ジャンパー膝の予防としてのストレッチング

 ジャンプ時には、約1,200kgという莫大な衝撃力が膝蓋腱にかかる。このような大きな力は、大腿四頭筋によって生じるものである。

​ 筋力発揮の力が大きければ大きいほど筋は縮む特性がある。そのため運動後にはストレッチングで十分に伸ばしておかなければ、大腿四頭筋をもとに生体長に戻すことができなくなる。

引用:堀居 昭. 2003. 「障害を予防するストレッチングとトレーニング ジャンパー膝のメカニズムと予防法」『Sportsmedicine』 15巻6号: 38-40頁.

⚫︎立位による大腿四頭筋のストレッチング(A)

​ 柔軟性のある人とない人では多少異なるが、このストレッチングでよく伸展される金は、大腿四頭筋の下部〜中間部で、筋で言えば、内側広筋、外側広筋、さらに中間広筋と大腿直近の中位部である。「楽な伸展」を10〜20秒行い、さらに大腿を後方に引いて伸展を強める「発展的新t年」を20秒間ほど行う。

⚫︎立位による大腿四頭筋の内側広筋のストレッチング(B)

​ 立位で、壁などを補助として、片足立ちになり、足の甲を引っ張り、大腿の内側の内側広筋に伸展が感じられるようにする。内側広筋に伸展が感じられる時点でストレッチを止め、「楽な伸展」を10〜15秒ほど、保持する。その後、腰を少し前に出し、足の甲を強くしていく伸展を強め、10〜15秒間「発展的伸展」を行う。

⚫︎立位による大腿四頭筋の外側広筋のストレッチング(C)

 立位で、壁などを補助として、片足立ちになり、足の甲を握り、その足を殿部近くまで持っていき、大腿の外側にある外側広筋に伸展が生じるようにする。伸展が生じた時点でストレッチを止め、「楽な伸展」で10〜15用ほど、保持をする。その後、少し腰を伸ばし、足の甲の引っ張りを強めて、「発展的伸展」を10〜15秒ほど行う。

⚫︎仰臥位による両肘当て大腿四頭筋のストレッチング(D)

 両足を曲げて、仰臥位の姿勢をとる。両肘当ての高さを調節し「楽な伸展」で10〜20秒間行う。さらに肘当ての高さを低めにして、ストレッチング強度を強め、「発展的伸展」として20秒間行うことにする。しかし、(E・F)​の仰臥位による

両膝曲げのストレッチングができないまでも、ジャンパー膝になりやすい選手は、両膝当ての仰臥のストレッチングまでは持っていく必要がある。

⚫︎仰臥位による片膝曲げの大腿四頭筋ストレッチング(E)

 仰臥位に寝そべり、ひざを曲げ、膝頭を浮かせないように上半身を徐々に後ろに反らす。痛みを感じない「楽な伸展」で10〜20秒ほど行い、さらに状態を後ろに倒していきストレッチングの強度を高めて、「発展的伸展」で20秒ほど行う。状態を後ろに反らし、頭が床についても膝頭が床から離れないくらいになるまで柔軟性を強化する必要がある。​

⚫︎仰臥位による両膝曲げのストレッチング(F)

 両膝を曲げて、仰臥位の姿勢をとり、その後、状態を後ろに反らし、膝頭を浮かせないようにして、「楽な伸展」で10〜20秒ほど行う。その後、さらに上体を倒していき、頭を床につけても、膝頭が床から離れないほどにストレッチングの強度を高めて、「発展的伸展」で20秒ほど行う。

​ できれば、ジャンパー膝になりやすい選手は、この仰臥位による両膝曲げのストレッチングをぜひ、奨励したい。​

引用:堀居 昭. 2003. 「障害を予防するストレッチングとトレーニング ジャンパー膝のメカニズムと予防法」『Sportsmedicine』 15巻6号: 38-40頁.

​ひざのアイシングの例:20分を目安に

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